五 行 詩 V

   パリ 編


パリに居た

凱旋門を見上げ、シャンゼリゼ通りを歩いた

Lexus・Cartierのお店 ウィンドウショッピング

舗道に据えられたテーブルと 椅子には観光客

ジャグリングをするピエロが “bonjour!”と屁をひいた


霧にかすんだ エッフェル塔

鯉備置たちの肩を やさしく霧は撫ですぎる

甘いため息を 風はパリの街中にはこぶ

エッフェル塔のその眼下 シャイヨー宮のシンメトリー

緑の冴えるシャン・ド・マルス 虐殺の場
 

  

グラン=プルバールに流れるシャンソン

オペラ座の南に位置するバンドーム広場

若き画家たちのたむろする モンマルトル

セーヌの川に溺れる バスティーユ監獄

愛しの マリー・アントワネット妃
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 白馬に乗って見た夢は パリの空の下

そびえ立つエッフェル塔――見上げたっけ

いかめしい姿の凱旋門――見下ろしたっけ

時代遅れのマロニエの並木道――見ていたっけ

目が覚めた少年の腕の中に ミケ猫一匹 白馬に乗って見た夢は パリの空の下

清く流れるセーヌ川 恋人たちの語らう

痩せこけたのら猫の声 “ニャーオ!”

真っ黒の毛 茶色の瞳 名付けて“ニケ”

目覚めた少年の腕に ミケ猫一匹
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